マーシャルの余剰分析
マーシャルの余剰分析には有用性と問題点の両方を孕んでいる。
まず有用性についてであるが、生産者余剰と消費者余剰を需要曲線と供給曲線を用いて簡単に求めることができる。またこれらの和が社会の総余剰となり、貿易利益の大まかな把握が容易にできる。この際、限界費用と価格が等しくなる水準で企業が商品の生産を行えば最大の利潤を得られることがわかる。
また、取引する商品に税金がかかる場合にはその税金が消費者と生産者、それぞれどのくらい支払われたかを確認できるのも余剰分析の特徴である。
次に問題点についてである。マーシャルの余剰分析は完全競争市場をであることを前提としているため、それ以外の市場である場合分析は困難である。また1つの財のみの想定となっており、2つ以上の財を同時に分析することは不可能である。加えて所得効果を反映しないため、他の財の値段の上がり下がりによって消費者行動は変わらないようになっている。これは現実の消費者行動とは反しているため、貿易利益を考えるにあたってこれらは障壁となっている。